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1.フランス製レンズの魅力

前々回は、フランス製レンズのアンジェニューについて記した(BESSA R とアンジェニュー)。

フランス製のレンズは、アンジェニューやキノプティック、エルマジーなど、なんとも個性的なレンズが多い。

目の前の光景を正確に写し取るのではなく、光の質や変化、人間の目に近いぼやけ方を描く……、それはまさに19世紀後半にフランスで勃興した印象派の絵画と相通ずるものがある。

モネやアルフレッド・シスレーの絵は、フランス製レンズとフィルムで撮った写真を彷彿とさせるのだ。

だいきちが好きなカメラ・FOCA のレンズも、そんな “フランス的な写り” をするレンズだ。

フランスのルヴァロワ光学精機社(OPL社)によって1960年代まで生産されていたFOCAは、「ライカコピー」という括りで語られることも多いが、それはちょっと違う。

カメラを売るために高級なライカを模して作るのと、ライカに挑戦するような意気込みであえてライカと同じジャンルのカメラを作るのでは大きな隔たりがある」(田淵勝彦:フォカの全貌.クラシックカメラ専科 No45.世界のライカ型カメラ.朝日ソノラマ,1998より) と述べられているように、FOCA は機構もレンズも、ライカのそれとは一味違う。
違う方向からライカに挑み、そして敗れた。

2.FOCAの分類

FOCAのカメラの分類は細かいバージョンが多く、正確に分けることは難しいが、ざっくりと整理すると以下のようになる。

・FOCA PF1、PF1 bis、スタンダール(距離計なし ※PF1はレンズ固定式、PF1 bis、スタンダールはスクリューマウント)

・FOCA PF2、PF2 bis、PF3、PF3 L(スクリューマウント、レンジファインダー)

・FOCA Universal(バヨネットマウント・レンジファインダー)

・FOCAFLEX(ペンタプリズムのない一眼レフ)

・FOCA SPORT(レンズシャッター、レンジファインダー)
→(FOCA SPORTⅡ 試し撮り モノクロ編
→(FOCA SPORT Ⅱ 試し撮り カラーネガ編

この中でいわゆる 「ライカ型カメラ」 に分類されるのは、FOCA PF と FOCA Universal だ。

FOCA PFはおおむね星の数で見分けることができる。

☆・ワンスター(距離計なし)、☆☆・ツースター(距離計あり)、☆☆☆・スリースター(距離計あり、スローシャッターあり)、だが、50mmレンズ以外は距離計に連動しない。

FOCA Universalは、1949年に登場したバヨネットマウント式のレンジファインダー機であり、50mm以外のレンズも距離計に連動している。
特徴的なのは、シャッターダイアルでフィルム巻き上げとシャッターチャージを行う点である。シャッターを切ると「ジャギッ」という音と共にシャッターダイアルが回転する。
この音と操作感でご飯3杯はいけるだろう。

 

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▲FOCA Universal   OPLAR 50mm f2.8

 

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▲シャッターダイアルを回転させてフィルム巻き上げとシャッターチャージを行う

1955年には、このシャッターダイアル兼巻き上げノブの方式が改良され、フィルム巻き上げ操作がレバー式となったUniversal Rが登場した。これにはセルフタイマーも装備されている。

 

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▲FOCA Universal R  OPLAREX 50mm f1.9

 

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▲フィルム巻き上げがレバー式に改良された。

 

「フィルム巻き上げ操作がレバー式に改良!」ということで、この前年の1954年に出たLEICA M3 や NIKON S2 に追いついたのだが、ファインダーに関しては、M3やS2のクリアで大きなファインダーと比べると、小さくて見にくいことは否めない。

そして1962年、最終型のUniversal RCが登場。それまでのファインダーが改良され、倍率が高くなり見やすくなったが、時既に遅し。

RCは生産台数が少ないようで希少性は高いけど、ちょっと肥大化したボディで、デザインもあまりそそられない。

と、ボディに関してはライカコピーとは一線を画したオリジナリティのある工夫が見られるものの、決してライカを越える機能や信頼性があったわけではない。

けどデザインや操作性を含めた物体が放つ存在感は、物質に精神が宿っているようで魅了されてしまう。

3.FOCAのレンズ

で、肝心のレンズだが、バヨネットマウントには以下がラインナップされている。

OPLAR/OPLEX 28mmF6.3(2群4枚/対称型)
OPLAR/OPLEX  28mmF4.5(2群4枚/対称型)
OPLAR/OPLEX 35mmF3.5(3群4枚/テッサー型)
OPLAR/OPLEX 50mmF2.8(4群5枚/変形テッサー型)
OPLAR/OPLAREX 50mmF1.9(5群6枚、4群6枚/ガウス型)
OPLAR/OPLEX  90mmF3.5(3群4枚/テッサー型)
TELEOPLAR 135mmF4.5(2群4枚)

このほかに、ミラーボックスを使う50mm、105mm、200mm、500mm があるようだ(参考文献1)。

 

DSCF0651
▲(左から)OPLEX  90mmF3.5、TELEOPLAR 135mmF4.5、OPLEX 35mmF3.5、ターレットファインダー。

あと、28mm の2本が欲しい。

その後、ヤフオクで28mmのレンズを手に入れたが……。その顛末はこちらから→ヤフオクで軽く痛い目にあった話

 

4.写りはどうなのか

99030017
FOCA Universal R  OPLAREX 50mm f1.9  LOMO800

 

少し暗い日陰で、開放で撮影。

この淡い雰囲気、立体感、前ボケの感じ、しっとり感、しかしピントは来ている、この描写こそ、フランス製レンズの醍醐味だろう。

日陰だったけど、奥の方にわずかに陽が差し込んでいた。
そのわずかな光をキャッチする。


99030014
FOCA Universal R  OPLAREX 50mm f1.9  LOMO800

f2.8に絞ると、だいぶ引き締まってくる。

 

9 200
FOCA Universal R  OPLAREX 50mm f1.9  LOMO800LOMO100

逆光気味で開放。

陽が強く当たって反射しているところは、飛んでハロが出やすく幻想的だ。

 

9 200
FOCA Universal R  OPLAREX 50mm f1.9  LOMO100

こちらも開放で撮影。ハロや周辺の収差の出方が顕著だ。

OPLAREX 50mm f1.9 は扱いにくいけど、嵌まった時の描写はなにものにも代えがたい。
魔性のレンズだ。

 

5 100
FOCA Universal R  OPLEX 35mmF3.5  LOMO100

開放で撮影。

35mmはテッサー型でシャープに写るが、開放だとハロが出やすい。

少し絞るとハロは消えた。

 

5 100
FOCA Universal R  TELEOPLAR 135mmF4.5  LOMO100

開放で撮影。

開放f4.5 と無理のない設計で開放からシャープだ。

 

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FOCA Universal  OPLAR 50mm f2.8  LOMO400

一番使いやすいのが、このOPLAR 50mm f2.8だ。

開放でもそれほど像は乱れず、安定した写りを見せる。

しかし、収差などの味は残っているので、「写りと味」のバランスがいい。

 

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FOCA Universal  OPLAR 50mm f2.8  LOMO400

 

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FOCA Universal  OPLAR 50mm f2.8  LOMO400

 

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FOCA Universal  OPLAR 50mm f2.8  LOMO400

 

夜や曇り、室内、雨といった光の少ない状況で撮ると、思いのほか発色もよく、雰囲気よく撮れる。

ピーカンだと逆に彩度も飛んでしまう感じ。

とまぁ、フランス製のFOCA とそのレンズについて見てきた。

レンズはかなり個性的だと思うのだけど、FOCAはマウントアダプターもなく(個人で製作されている方はいるようだが)、デジタル界隈から注目されていない。

また、ボディの信頼性も高くない。特にシャッタースピードやシャッター幕の不具合が多いようだが、修理してもその修理代に見合う値段では売れないので(中古カメラ店店主談)、市場に出回る台数も少ない。

だいきちの実力では、FOCAの魅力の一端しかお伝えできないが、こういうカメラ、レンズもあるということを記しておきたい。

関連記事
FOCA OPLAREX 50mm f1.9 の魅惑の写りを堪能する

参考文献
1)田淵勝彦:フォカの全貌/クラシックカメラ専科 No45.世界のライカ型カメラ.朝日ソノラマ,1998.
2)西ゆうじ:クラシックカメラ劇場.主婦と生活社,1999.

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