オールドレンズは不思議なもので、写りの独自性、物語性、ロマン、思い入れ、思い込み、等によって現代の性能評価基準だけでは推し量れない魅力がある。
「よい写真」の定義が人によって違うように、「よいレンズ」の定義もあってないようなものであり、クモリがあろうが、キズがあろうが、値段が高かろうが安かろうが、人それぞれ、自分なりの価値基準がある。俺のレンズが世界一、それでいいのだ。
だいきちも色々好きなオールドレンズはあるけれど、今回は格安で思い入れのあるレンズをピックアップしたい。
左から、HELIOS 44-2(NIKON Fマウント改)、FUJINON 55mm f2.2(M42マウント)、Super-Multi-Coated TAKUMAR 55mm f1.8(M42マウント)。
どのレンズも1万円以下で手に入るだろう(HELIOS はマウント改造してあるので2万円弱だったけど)。
FUJICA ST801 Super-Multi-Coated TAKUMAR 55mm f1.8 LOMO800
オールドレンズは、総じて光に弱い。
光に対して敏感になれ、とレンズが教えてくれる。
FUJICA ST801 Super-Multi-Coated TAKUMAR 55mm f1.8 LOMO800
光に弱い、からフレアやゴーストが出やすい。
ということは、それを楽しめばいいだけのことだと思う。
FUJICA ST801 Super-Multi-Coated TAKUMAR 55mm f1.8 LOMO800
今回の現像とデータ化はすべて戸越銀座のフォトカノンにお願いしている。
いつもおまかせで、いい感じに仕上げてくれる。
FUJICA ST801 Super-Multi-Coated TAKUMAR 55mm f1.8 LOMO800
オールドレンズとフィルムの組み合わせは、質感や雰囲気が増幅される。
FUJICA ST801 FUJINON 55mm f2.2 LOMO800
FUJICA ST801 FUJINON 55mm f2.2 LOMO800
この FUJINON 55mm f2.2 は、FUJINON の標準レンズでは入門レンズ的な位置付けだけど、4群4枚のエルノスター型でバブルボケが出やすい。
NIKON FM10 HELIOS 44-2 Fujifilm C200
ヘリオスはグルグルが出やすくて、それがおもしろいのだけど、ちょっと絞るとキリッと写る、基本性能は高いレンズだと思う。
NIKON FM10 HELIOS 44-2 Fujifilm C200
逆光でゴーストを出す。玉ボケもいい感じだ。
NIKON FM10 HELIOS 44-2 Fujifilm C200
開放で静謐かつ妖しげな雰囲気を狙う。
室内だと落ち着いた描写だ。
NIKON FM10 HELIOS 44-2 Fujifilm C200
前ボケ、ぐるぐる、玉ボケ、を狙ってみる。
このレンズは発色も好みで、特に緑の色合いが気に入っている。
▲今回の機材。
とまぁ、安めのオールドレンズを見てきたが、本来はレンズの欠点であるはずの収差やゴーストやフレアは表現として楽しいものであり、さらにフィルムと組み合わせることで、オールドレンズのよさがさらに引き立つように感じた。
標準レンズは奥が深いですね…
SMCタクマーのフレア、ゴーストが好みです。
画作りも端正で優等生という感じでしょうか。
それを考えると他の2つは個性が強くて面白いですね。
ヘリオスは個体によってまちまちらしいのでもう何本かは手に入れてみたいです。
SMCタクマーは非常にバランスがいいですね。フレアやゴーストもちゃんと(?)出るし、条件がよい場合には写りもいいので。色味もやさしい。オールドレンズの王道といった感じですね。
FUJINON 55mm f2.2 は発色のヌケの悪さをしばしば感じるので、バブルボケはおもしろいのですが、普段使いとしては他の2本と比べると劣ります。
ヘリオスは発色もグルグルボケもおもしろいし、逆光でゴースト、フレアを出しつつ、破綻はしないので優秀ですね。個体差はあるんでしょうね。
ヘリオス40-2 85mmも使ってみたいのですが、普通に高いので、あえて買うまでには至っていません。
どもども、だいきちボンバー殿。
「写真家は太陽を背にする」というのが教義ですが、これはデジカメ時代になってはまるで無効になってしまいました。ポートレイト撮影会など、逆光や日陰でで撮ろうとする方々に交じって順光・半順光で撮るのはコミュニケーション的な技が必要になります。
個人的にはモノクロフィルムにはモノクロフィルム時代のレンズ、あるいはモノクロフィルムの供給がマイナーではなかった頃のレンズがフィットします。タクマーやフジノンは典型的なパフォーマンスを引き出す好選手です。
もっとも、AF時代の高倍率ズームレンズも意外な描写力を持っていて、拙僧のような薄っぺらいものを吹き飛ばしますね。
収差で写真がダメになるなんて信じられないですね。その写真は収差がなくてもダメでしょう。そもそも、古いレンズを使って収差の揚げ足をとるような雑誌記事やコンテンツは信用していません。あるものは活用する。適材適所に使う。レンズのせいにするんじゃなくて人間が賢くあるべきですね。
フジノン55mmF2.2の発色の抜けがアクロスのようなモダンなモノクロフィルムでどんなテクスチャーを再現するのか興味深いです。まだ未稼働なのですが。
それでも今日はヤシノン50mmF1.7を動員しました。液温的に時価現像するかは微妙なのですが。
そうですね。タクマーやフジノンはモノクロもフィットしそうですね。フジノンもf1.4は繊細でコーティングもカラー向きな感じがするのですが、55/2.2はモノクロで中間調のノリがよさそうです。やはりフジのレンズにはアクロスを合わせたいですね。
ヤシノンですか! これはいいレンズをお持ちですね。F1.4も1.7もたまに見かけると、意外といい値段をするので買えませんでしたが…。モノクロも拝見したいですね。
(最近は暑いので、液温管理が億劫で自家現像もさぼり気味です。)