Canodate E は、1970年にキヤノンより発売されたレンズシャッター機だ。
その名の通り、デート、日付を写真に写し込むことができる。
それまで、日付を写し込むカメラは小西六や旭光学から一眼レフの特注品で販売されていたようだが、一般向けとしてはこのカメラがデート機能を持つカメラの第一号のようだ。
だいきちとしては、デート機能もさることながら、その写りに魅力を感じていた。
『季刊 CLASSIC CAMERA No.6 特集 カラー時代の覇者 キヤノン』(双葉社、2000年)の中で、立木義浩が1970年にCanodate Eを使ってヨーロッパを撮影した写真が掲載されているのだが、このモノクロ写真が非常にかっこいい。
キヤノンというと、「カラー」のイメージが強いが、昔のキヤノンのレンズ、特にライカスクリューマウント(Lマウント)のキヤノンレンズはモノクロがかっこいいと思う。
このCanodate E のレンズにも、そのモノクロDNAが受け継がれているのではないだろうか、そんな空想を抱いていた。
機会があれば使ってみたいなぁ、と思っていたところ、ヤフオクで1000円くらいで落札した。
と言っても、入手したのは2年くらい前でなかなか使う機会がなかったのだが、最近、電池を入れてみたところ動いたので、使ってみることにした。
使い方はいたってシンプルで、二重像合致方式でピントを合わせて、シャッターを押すだけ。
露出はプログラムだけど、ISO感度を上げ下げして、露出補正を行った。
特徴の一つ、デート機能。
一番下のボタンを下げながら、「年」「月」「日」を設定する。
一番上のボタンで日付を写し込むか否かの設定ができる。黄色が見えているときは、写し込む設定。
「年」は、「70」~「89」までと「1」~「9」の設定がある。
まさか、発売から47年後に使われるとは思ってもいなかっただろう、今回は「7」に設定して使用した。
軍艦部。設定することが少ないのでシンプルな配置だ。
シャッターを半押ししたときに、中央のオレンジ色が光るとシャッターが切れるサイン。
電池は、水銀電池のHM-N(NR52)だが、現在は入手できないのでLR44を4個使用した。
ISO感度は、2/3段くらい下げた設定にした。
というわけで、試し撮りを行うことにする。
フィルムは、Kentmere400。
D76(stock)、20℃ 9分30秒 で現像している。
Canodate E 40mm f2.8 Kentmere400
おととい、東京ドームで巨人 対 DeNA を見てきた。
なんか、リアリティというか妙な臨場感がある写りだ。
ちなみに左端に息子を入れてみた。
日付はONにしていたはずだけど、写っていないなぁ。
Canodate E 40mm f2.8 Kentmere400
谷中あたりを散歩したときの写真。
右端に上から「日」「月」「年」が写っている。カメラ側で設定した順番とは逆に写るようだ。
アラーキーの偽日記のように、写っている日付が本当かどうかはわからないけど、自分で使う分には日付ありは楽しいもんだ。
Canodate E 40mm f2.8 Kentmere400
少し硬調のようだけど、なかなかしっかりと写っているのではないだろうか。
日付はモヤモヤしているけど。
Canodate E 40mm f2.8 Kentmere400
日付は右端に写っているようだけど、自動スキャンの際に切れてしまった。
左側の扉や椅子の木の質感がいい。
Canodate E 40mm f2.8 Kentmere400
二重像は合わせやすい。
しかしシャッター音が、「くちゃっ」 という音で頼りなく、撮れてる、という実感がまるでない。
これ、ホントに撮れてんのかね? という感じ。
Canodate E 40mm f2.8 Kentmere400
おぉ、この写真はディテールも階調もいい感じ。日付もちゃんと写っているし。
Canodate E 40mm f2.8 Kentmere400
逆光で撮影。なかなかレンズも優秀そうだ。
今回は、ISO400のフィルムに対してISO感度を250に設定したけど、このシーンでは160に設定している。
Canodate E 40mm f2.8 Kentmere400
Canodate E 40mm f2.8 Kentmere400
暗いところはどうだろう、と夜のタクシーの車内から撮影。
最長4秒(f2.8) まで撮れるようなので、ちゃんと固定すれば暗くてもそこそこ撮れそうだ。
日付の写り込みが流れたり、写っていなかったりする件に関しては、前述の『季刊 CLASSIC CAMERA』には、「デート機能自体は豆電球を使ったプリミティブなもので、シャッターが閉じた後にフィルムに焼きこむため、巻き上げを早まると、日付が流れて写し込まれたりする」 と記述されており、どうやらシャッターを切ってすぐに巻き上げていたことがちゃんと写らない原因のようだ。
というわけで、Canodate E を見てきたが、なにしろ、シャッター音が頼りないので、写っていただけでも軽い驚きだったが、クオリティに関しても想像以上の出来で感嘆させられた。次はカラーも見てみたいところだ。
こんにちは、いつも楽しく拝見させていただいております。
やはりこの頃のレンズシャッター・レンジファインダー機は各社競争をしていて、どれも完成度が高いですねー。
先日買ったペトリカラーもその頃のものですよね。フィルムが再燃している昨今、こうしたお手軽で高精度のコンパクトカメラが再販されると嬉しいですね。
どもども、だいきちボンバー殿。
キャノデートを1000円で落札して下さる方がいらっしゃるなら、拙僧も、この種のカメラに強気の値付けをして良さそうですね。実際に写りは素晴らしいですから。
ピッカリコニカは素晴らしいカメラですが、これ以降、レンズのクオリティは低照度下の粘りを放棄してしまった気がします。
先日、ジャンク籠に500円で転がっていても誰も手に取らないフジカDATEを使ったんですが、素晴らしいネガが出来ましたよ。エッジも調子もキレッキレ。逆光にはちょっと弱いですから、500円で転がっているカメラですから上出来です。調子に着いては拙僧の「現像は押せばよい」という短絡的な思い込みの影響が少なくないと思われますが、1/3程アンダーで撮るのは正解だと思います。
キャノデートはA35デートルクスと同じレンズだったと記憶しているのですが、ナイター野球で動員するとは流石ですね。しかも、よく写っています。
個人的には本レンズのパフォーマンスを発揮してると思ったのは後ろ姿のカブが写った街スナップです。個人的に好きな絵作りですね。拙僧はキャノデートは未稼働(自戒)なのですが、A35デートルクスのレンズで比較すると同じモノクロでもキヤノンの方が諧調の遷移が軟らかい気がします。アクロスとケントメアの違いも無視できません、拙僧の現像がオシオシのイイ加減だからフジカDATEと違う可能性も否定できません。
拙僧がフジカDATEのコンテンツを公開した後で写りを気に入って頂けたら、送料を負担していただければお譲りしますよ。ゆうパックでサイズ60です。
この種のカメラをだいきちボンバー殿に評価していただくのは嬉しいですね。
しろたん。さん、こんにちは。
ご覧いただきありがとうございます。
この頃、1970年前半までは凝ったカメラが多かったですね。ペトリカラーも1968年ですね。
やはりオイルショック以降は収益悪化やコストダウンの影響でカメラの質も低下したと思います。
フィルム人気でこの頃のカメラが注目されるのは嬉しいところです。まだ使えるカメラが残っているというのもすごいことですが。
コメントありがとうございました。
Rikkieさん、どうもです。
> キャノデートを1000円で落札して下さる方がいらっしゃるなら、拙僧も、この種のカメラに強気の値付けをして良さそうですね。実際に写りは素晴らしいですから。
この種のコンパクトカメラで、きちんと使えるものであれば、お店なら4000~8000円くらいしますから、強気でいけると思いますよ! フィルム人気も再燃していますし。
フジカDATEは気になりますね。
1975年ですか。1970年後半からコンパクトカメラはプラスチック系になっていくので(ピッカリコニカもそうですが)、1975年、76年くらいまでの金属の質感を残したEEカメラというのは好物です。
CanodateはA35デートルクスと同じレンズですか。なかなか明るいレンズなので東京ドームに持っていきましたが、予想外に写っていました。子どもを撮った写真も肌の感じもよく撮れていて、「普通に使えるぞ」という感じです。
>A35デートルクスのレンズで比較すると同じモノクロでもキヤノンの方が諧調の遷移が軟らかい気がします。アクロスとケントメアの違いも無視できません
ケントメアを初めて使ったのですが、B&Hで3.95ドルと他のフィルムより大分安いのですが安定した階調です。旧型乳剤のオーソドックスな粒子感で気に入りました。現像もしやすい印象です。
フジカDATEのコンテンツも楽しみにしております。コメントありがとうございました。