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先日リニューアルした東京都写真美術館 のホームページを見ていると、モノクロ銀塩プリントのワークショップが開催されるという。

さっそく申し込みをし、本日、参加してきた。

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以前勤務していた出版社には暗室があり、社内で現像、プリントを行っていた。

そこでカメラマン上がりの暗室担当の方にいろいろと教えていただいていたが、なにせ時間勝負の報道系だったので、なるべく短時間で現像、プリントを行うことに主眼が置かれていた。

なので、オーソドックスなやり方を学んでおきたいと参加した。

当日は、ネガを持参して東京都写真美術館 1階のスタジオへ。

参加費は4000円(ネガフィルムの場合)、時間は3時間、参加者は13名くらい。男女比は半々、いや女性の方がやや多かったか。

引き伸ばし機は一人一台、ラッキーとベセラーだった。

一通り、使用方法についてレクチャーを受けた後、いざプリントに挑戦。

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▲PENTAX645N 、acros100 を使って撮影したフィルムをプリントしてみる。
印画紙はイルフォード・マルチグレードのRCペーパーだった。

まず、f8、2号フィルターで4秒、8秒、12秒、16秒 と段階露光したけど、16秒でも薄すぎるなぁ。

そこで今度は、f5.6 にして段階露光を行う。

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▲f5.6、2号フィルターで4秒、8秒、12秒、16秒 の段階露光を行う。

16秒(一番左)が濃度的よさそうなので、この露光時間で本焼きする。

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▲f5.6、2号フィルターで16秒。

うーん、決して悪くはないけど、ちょっとパンチに欠けるかな。

すると、プリント担当の方から、フィルターを2.5号にするとどうか、というアドバイスを受ける。

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▲f5.6、2.5号フィルターで16秒。

おぉ、コントラストが上がってメリハリが出つつつも、朝もやや水面の反射はやわらかく、いい塩梅ではないだろうか。

フィルターでここまで変わるのか。

試しに3号もやってみましょう、と言われる。

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▲f5.6、3号フィルターで16秒。

ちょっとコントラストがつきすぎたか。すんごい曲がってるし。

木の枝の先端はシャープに出ているんだけど、水面の反射やもやが硬くなって雰囲気に欠ける。

まぁ絶対的な正解はないのだけれど、ここは、f5.6、2.5号フィルターで16秒のプリントでフィニッシュとしよう。

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▲続いて、NIKON F3 に 55mm f2.8 マクロ、Rollei ORTHO25 で撮影した写真。

今回は、メリハリを付けたかったので、最初から2.5号フィルターを使い、f8 で4秒、8秒、12秒、16秒、と段階露光した。

16秒(一番左)で本焼きする。

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▲f8、2.5号フィルターで16秒。

重厚感と艶っぽさ、そして光の当たり方も狙い通り表現できた。

と、久しぶりのプリントだったが、とにかく楽しく、3時間があっという間だった(あともう一枚、KLASSE で撮影した写真をプリントしている)。

そしてプリントワークによって、ネガはいかようにも変化する。

そうまさに、「ネガは楽譜、プリントは演奏」 というアンセル・アダムスの言葉を実感することができた。

そしてなにより、印画紙の「黒」 はインクとは違う粒子の美しさがある。

撮って、現像して、スキャンで終わらせるのはもったいない。現像してからがスタートなのだ。

ちなみにこのワークショップ、次回は来年1月に予定しているそうです。

13 のコメント

  1. 今晩は。プリントの現像、苦労様でした。この絞りの数値って引き伸ばしレンズの数値ですか? だいきちさん、ネガの現像、とても上手いのでプリントもやはり上手いですよね。ちなみに私は引き伸ばしレンズはf16辺りから使います。引き伸ばしレンズの種類にもよるのですが、絞るとシャープになりますよ。プリントが眠くなるので3号から3.5号のフィルターで、露光時間はえらく長いので、3回位に分けます。ネガの温度を下げるためです。どういうわけだか4号からは逆にもっと眠くなるのですよ。理由は分かりません。散光式と集散光式だとフィルターが違いますが、引き伸ばしレンズは絞った方か結果が良いです。ローデンのロダゴンが良いです。

    CMG
  2. CMGさん、こんばんは。
    >この絞りの数値って引き伸ばしレンズの数値ですか?
    はい、引き伸ばしレンズの絞りです。
    モノクロはf8をベースに4~16秒の4段階でまずテストプリントをする、という指示でした。
    引き伸ばし機はベセラーで、素人ながらに、これはいい機種だなと思いました。
    具体的な機種はわからなかったので散光式か集散光式か不明ですが……。
    絞りはf16 くらいまで使うんですか! そうすると露光時間が長くなるので、何回かに分ける、と。
    あとローデンのロダゴンですね。いつも参考になるコメントありがとうございます。早いうちにレンタル暗室に行って、いろいろと試してみたいと思います。
    引き伸ばしは、これまた奥が深いですね。しかしかなり楽しいです。バライタもやってみたいし。
    いい写真撮って、いいネガを作らねばと気合が入りました。
    参考になるお話、ありがとうございました。

    だいきちボンバー
  3. ベセラーはヘッドを変えるだけで、どちらにも切り替わります。カラーヘッドが散光式です。ゴールドライトといって、熱が低いモデルもあります。いつかはベセラーと思っていますが、台の水平をきちんと出さないと駄目だとか言われました。絞り値はf16辺りにしないと露光三分とか五分とかになってしまいますが、ロダゴンだけはf22まで絞っても締まった黒が出ます。全く別のモノクロプリントになるだけではなく、覆い焼き、焼き込みの時間を充分確保できます。アメリカではf16っていう人が多くて、メイプルソープとかアンセルアダムスとかは引き伸ばしレンズをかなり絞ってます。実はカラープリントでもこの絞り値は有効で、もやっとするプリントからシャープなディテールが出るのが特徴です。私が未だにデジタルカメラに移行できないのは、引き伸ばしレンズで表現方法が大きく変わる点です。本当はこの事は秘密なんですけど、ダイキチさんの現像技術は素晴らしいので、トライしてみてください。RCはつまらないので、バライタだけでいきましょう。イルフォードはマット、それとオリエンタルシーガルは素晴らしいです。

    CMG
  4. CMGさん、ありがとうございます。
    ベセラーは切り替えができるんですか。集光式、散光式など、いままで気にも留めていなかったのですが、特徴をきちんと把握して使いこなしていきたいです。
    また引き伸ばしレンズや絞り値によって、そこまで表現が変わるとは知りませんでした。ここもまた奥が深い。引き伸ばしも、撮影と同様ですね。表現の比重としては。撮影者の意図や選択が表現されるものだと思い知らされました。
    いままでカメラ、レンズとはまってきましたが、引き伸ばし機やレンズ、とこれまた奥が深いですね。RC は簡便な反面、せっかく引き伸ばしまでするのなら、バライタでいきたいです。
    印画紙も減ったり、値上げもありますが、いい選択をしていきたいと思います。
    貴重な情報ありがとうございました。

    だいきちボンバー
  5. 集散光式はコントラストが高い反面、ゴミが目立ちます。スポット用のインクで対応します。散光式はより軟調ですが、ゴミは殆ど消えます。バライタとRCの一番の違いは、RCは現像液に入れっぱなしにしても、ある一定の所からそれ以上変化がないのに対して、バライタはそのままつけておくと真っ黒になってしまいます。ので露光時間よりも目で確認しないとなりません。ドライダウンといって乾燥につれて黒が濃くなる傾向はRCの方があります。ネットで以前よりも印画紙の種類は多いので、モノクロフィルムや印画紙に関しては選択肢が増えてますが、値段が高いです。面倒ですが、二度と再現できないオリジナルプリントは、パワーがあります。ISO400だと六つ切まで、それ以上伸ばすと粒子が目立ちますね。

    CMG
  6. 集散光式と散光式でもかなり違うんですね。自分で仕上がりをイメージしていろいろと選択していかないと。
    >バライタはそのままつけておくと真っ黒になってしまいます。ので露光時間よりも目で確認しないとなりません。ドライダウンといって乾燥につれて黒が濃くなる傾向はRCの方があります。
    そうですか~。この間は90秒でしたが、適当とまでは言いませんが、まぁだいたいこんなもんだろ、という感じで浸けていました。RCだったから通用したかもしれませんね。もうちょっと経験をつまねば。
    >面倒ですが、二度と再現できないオリジナルプリントは、パワーがあります。
    いや、本当これに尽きますね。生で見るプリントの白と黒は美しいと思います。自分も形あるものとして残したいものです。
    いろいろと参考になるアドバイスありがとうございます。

    だいきちボンバー
  7. どもども、だいきちボンバー殿。
    専門家のアドバイスを頂いてベセラーが使えてイルフォードのRCペーパーに焼ける。
    羨ましいですねえ、拙僧が八王子に住んでいた頃なら喜んで4000円を払いましたね。
    バタイタは挑戦して頂きたいです。美しいですからね。滑らかな透明よりも透き通った白、黒の中に更に沈み込んだ黒。モノクロ写真冥利に尽きます。
    勿論、高いですよ。今は立川のビックカメラで期限切迫で安くなった紙とか日東商事で期限キレの安い紙を買うというのは期待できません。六つ切りのイルフォードのバライタ紙の値段。しびれますよ。勿論、それだけの価値があります。しかし、拙僧には既に手が届きませんね。
    扱いも大変です。露光時間もナーバスなのですが、厄介なのは乾燥です。平面化がすごく大変です。バライタ紙ってRC紙と違って激しくカーリングするんですよ。要するに反り返って丸まります。RC紙と違って簡単に紙同士がくっくことは無いのですが、平面を保つのは大変です。まだレンブラントがあったころ。20年くらい前の頃ですが、その頃、拙僧がバライタ紙を乾燥させたときは洗濯バサミで半乾きにさせてから分厚いベニア板の上に新聞紙と交互に重ねて、更にベニア板を乗せて日野レンジャーのピストンを重しにして、最低でも1カ月は放置しました。それでも、拙僧には完全な平面化は拙僧には無理でした。

    Rikkie
  8. 引き延ばしレンズもいくつか持っているのですが、ライカ判かそれ以下ならELニッコール50mm、中判ならELニッコール75mmを使います。引き延ばしレンズがかなり強い光を長時間あてるので表面が焼けちゃうのですが、拙僧はあまり気にしないでフジヤカメラで2000円くらいで買った旧型のELニッコールを使っていました。それでも焼けが気になるほどになっちゃったんで、前々回に帰京した時に、フジヤカメラで新型のELニッコールを2000円で買いました。正確にはよく覚えていないのですが、拙僧が4000円払うとは考えられないので2000円でショウ。
    露出なんていい加減でいいと口で入っていますが、理想的には印画時にELニッコールがF8で露光時間が60~90秒であることを意識しています。でも、実際にはF11かF16になりますね。7~8割はF16になりますね。そうしたいのはファインプリントを造りたいからでh無くて、1枚の印画紙の露光時間を60~90秒にしたいからです。拙僧が印画に避けるエネルギーは3時間くらいなんですよね。設置と撤収を含めてです。拙僧がギャラリーに展示できるクオリティのプリントを焼くなんて無理ですよ。プリントのごみなんてモデルさんの顔以外なら写りこんでも気にしません。それはだいきちボンバー殿もご存知ですよね。
    ヨーロッパ製のバライタ紙を買って、十分に資金的にも時間的にも余裕を持ってプリントしたいものですが、条件が揃うことは、もしかしら一生、この先ないかもしれないですね。でも、一時期は経験したので良かったなと思っています。
    それでも、1度だけ新宿のニコンSSにプリントを展示させてもらったことがあります。これは唯一と言っていい自慢ですね。

    Rikkie
  9. 暗室兼納戸のスペースの都合上と薬剤や感材のコストの問題でもっぱら六つ切りのバットを使い、印画紙も六つ切りまでしか使いません。拙僧も20代の頃は上昇志向というものがあったので半切りのバットも持っているのですが、20年近く使っていないですね。ニコンSSに展示してもらったプリントは四つ切だった気がします。
    最近(かなり前)にリサイクルショップでまとまった数の四つ切のフジブロFM3とFM4を拾ったのでネットオークションで大四つ切のバットを手に入れました。まだ使っていません。リサイクルショップの印画紙の使用期限なんて期待していないですが、せめて光線かぶりをしていないでほしいですね。
    拙僧が妻がまだ恋人だった頃、桶川のオフロードコースで泥だらけのオフロード用のオートバイプロテクターをつけた拙僧と妻のツーショットを焼いた4つ切りのバライタ紙は宝物です。

    Rikkie
  10. 最近はすっかりプリント関連ばかり気になっていますが、印画紙、高いですねぇ。ワークショップでは露光時間の試し焼きを何枚も焼いていましたが、おいそれとできないですね。本では短冊のように短く切って露光していましたが、そういうやり方がいいんでしょうね。
    しかし、高いとわかっていても、やはりバライタで焼きたい、いや焼かないと意味がないと思うようになってます。Rikkieさんと奥さまの写真のように、残せるプリントをしたいものです。
    以前、乾燥のプレス機がヤフオクに出ていましたが、5万以上でがんがん競っていて、「なんで乾燥、プレスでこんなに高いんだ」と驚いた記憶があります。当時はバライタ紙の特性も知らなかったので。なかなか普通に平面化させるのは難しいんですね。ズボンプレッサーを使っている方もいるようですが。
    逆に、いまでもこれだけ印画紙にプリントしている方が多くいることに驚きました。
    貸し現像室もけっこう予約入っているようですし。

    だいきちボンバー
  11. で、そうなると、自宅に暗室を作りたい、引き伸ばし機欲しい、となるのですが、まぁいきなりだと嫁ともめそうなので、しばらくは貸し暗室で修行したいと思います。
    なので、露光時間や絞り値はたいへん参考に、勉強になります。
    最近は、フジヤカメラや日東商事をのぞくことも多くなりました。
    カメラレンズにかけていた資金を、暗室関連にまわそうかなと。
    (とはいえ最近買ったのはFUJINON 135mm f3.5 だったり、Minoltacord だったりするわけですが……。)
    それにしても、ニコンSSで展示とはすごい。
    やはりちゃんと焼いたら展示もしたいなぁ、なんて焼いてもいないのに欲も少し出てきたのです。
    マンネリ気味だったので、やる気も出てきました。
    またいろいろと教えていただければと思います。コメントありがとうございました。

    だいきちボンバー
  12. どもども、だいきちボンバー殿。
    プレス乾燥機は持っていますよ。使ったことがないので使い物になるか分からないですが。
    拙僧が買うくらいですから数千円。5000円以上とは考えられないので4000円くらいだったと思います。
    高くなったんですねえ、シルバープリントが再評価されてきたのでしょうか。
    この先、その乾燥機を使う可能性は低いですが、夢は残したいですね。

    Rikkie
  13. プレス乾燥機もお持ちでしたか。カメラもレンズもそうですけど、これ欲しいなぁ、と思っているものって大体Rikkieさんもお持ちなんですよね(笑)。
    値段も上下するんですね。需給関係からすると、シルバープリント、また注目されているのかもしれません。
    この間、小豆島に行っていたんですが、フィルムカメラ女子を5人以上見ましたからね。
    それもNIKONが多かったなぁ。トイカメラとかではなく、FM2とかEM とかF3 とか。驚きました。
    先日の写真美術館のワークショップも女性の方が多かったですし、案外、女性主導でフィルムもプリントも再評価の波が来ているかもしれません。

    だいきちボンバー

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