最近、めっきり暗くなるのが早くなった。6時くらいで真っ暗だ。
会社から帰ってきて駅から自宅までの間にパチリパチリ撮ったり、仕事先でちょっとスナップ、なんていうのは楽しみの一つなんだけど、フィルムだと夜の撮影が難しい。
フィルムで夜の撮影をするには、いま思いつく限りだと5つの方法がある。
① 「シャッタースピードを遅くする」 とはいえ、1/8秒とか1/4秒とかだと手ぶれするし、三脚を持ち歩くわけにもいかないのが難点。
② 「明るいレンズを使う」 f値の小さいレンズを使えば、シャッタースピードを速くすることができる。けど、だいきちはあまり明るいレンズを持っていない。
コシナのNOKTON 50mm f1.1 とか欲しいけど。
③ 「ストロボを使う」 ある意味、一番確実な方法だけど、人に向けては撮れないし、届く範囲に限りがある。
④ 「感度の高いフィルムを使う」 カラーだったらNATURA1600、LOMO800、PORTRA800もまだあるかな。すごい高いけど。
モノクロだったら、ILFORD DELTA3200とか。これもヨドバシで1本1500円か。高いな。
とはいえ、値段を別にすれば、有力な方法の一つだろう。
⑤ 「増感現像する」 例えばISO400 のフィルムを800に設定して撮影後、メーカー指示にしたがって現像時間を長くする もしくは温度を高くして現像する。
だいきちが昔、編集記者をしていたころ、夜の張り込みの現場では、カメラマンに ISO3200のフィルムで増感して撮影してもらっていた。仕上がりはザラザラだけど、撮れなきゃ意味ないし、臨場感も出るし。ただ、いまだったらデジタルカメラを使えばいいだけの話だけど。
ちなみに、最後の最後の手段として、「ぶっつけ」と言って、カメラマンと記者が取材対象目がけて走っていき、記者が声掛け、カメラマンがストロボを焚いて撮影する、という方法もある。
これは確実に撮れる。撮れるけど確実に揉める。
というわけで、今回は現実的な線で、ISO400 のモノクロフィルムを使って増感現像してみることにした。
使用したフィルムはT-MAX400、カメラはLEICA CLにズミクロン50mm f2。
2段上げてISO1600に設定して撮影する。
現像液はT-MAX Developer。メーカー指示通り、20℃ 10分で現像した。スキャンは、EPSON GT-X830(2,400dpi)を使用した。
LEICA CL Summicron f2/50mm(3rd) Kodak T-MAX400
かなり暗い路地だったけど、f2、1/30 くらいで撮影。
LEICA CL Summicron f2/50mm(3rd) Kodak T-MAX400
少し明るい道だったので、f4、1/30 くらいで撮れた。
普段だったら諦める暗さだけど、ISO1600相当だと、かなりいけるぞ。
LEICA CL Summicron f2/50mm(3rd) Kodak T-MAX400
ここは夜8時過ぎ、かなり暗かった。f2、1/30 くらいで撮影。
LEICA CL Summicron f2/50mm(3rd) Kodak T-MAX400
ここは室内が明るかったのでいろいろな設定がありそうだが、f4 1/30 で撮影。
LEICA CL Summicron f2/50mm(3rd) Kodak T-MAX400
街灯の光以外は暗くて見えないシーンだった。f2 1/30 で撮影。
LEICA CL Summicron f2/50mm(3rd) Kodak T-MAX400
夜の遊園地。
真っ暗だったけど、一部照らされていたので、f2、1/30で撮影。
LEICA CL Summicron f2/50mm(3rd) Kodak T-MAX400
こちらもf2、1/30で撮影。
ここ上野公園の遊園地、8月いっぱいで閉園になってしまった。昭和な感じが好きだったけど。
LEICA CL Summicron f2/50mm(3rd) Kodak T-MAX400
だんだんと露出を測るのが面倒になり、以後、f2、1/30で撮り続けた。
LEICA CL Summicron f2/50mm(3rd) Kodak T-MAX400
LEICA CL Summicron f2/50mm(3rd) Kodak T-MAX400
上野駅前に出てきた。
上野公園よりは、1段から1段半くらい明るかったかな。
LEICA CL Summicron f2/50mm(3rd) Kodak T-MAX400
LEICA CL Summicron f2/50mm(3rd) Kodak T-MAX400
LEICA CL Summicron f2/50mm(3rd) Kodak T-MAX400
というわけで、フィルムで夜散歩を終えた。
とりあえずシャッタースピード1/15~1/30 で自分の目で見える範囲のものは、大抵のものは撮れた。
増感するとコントラストが上がり、粒状感も強くなるが、まぁ夜の雰囲気が出て悪くないのではないだろうか。
これからさらに暗くなる冬の夜でもフィルムを楽しめそうだ。
どもども、だいきちボンバー殿。
いい感じの写真じゃないですか。カットによっては確かにざらざら感を感じ無くもないですが、イイ具合の調子の肉乗りは素敵ですね。
あっしは増感てやったことがないんですよね。普段から現像は押すのですが。
スーパープレスト1600やイルフォードデルタ3200やTMAX3200が買える時代が少し懐かしいです。ね。
三脚を立てるなんて粋じゃないですから。
それにしても1/15が手持ちでOKってのは、流石ですねえ。
ありがとうございました。参考になりました。ネオパンプレスト400を1600にプッシュして撮影したことがあるのですが、増感現像すると軟調になってしまって、がっかりしてました。増感してもTMYは、変に軟調にならず、かなり綺麗に仕上がるので、すごく驚いてます。フィルム現像が上手いですよね。
T-MAXの微粒子にT-MAX Dev なら、増感現像してもそんなに粗粒子にならないんじゃないかなと思ってやってみました。
結果はほどよい粗さで、予想以上でした。
昔は1600、3200は普通でしたけど、やはりラインアップを整理すると最初にディスコンになってしまいますね。
きっとフィルムによって増感向き、不向きがあると思うので、いろいろ試してみたいところです。
1/15は、厳密には確実にぶれてますね。
なんとなくごまかして撮ってますけど、焼くほどのものは撮れません。よっぽど意図的なブレなら別ですけど。
ただ、LEICA CL は、小ぶりでホールドしやすいボディとシャッターの振動の少なさとあいまって、M6よりスローが撮りやすいです。M6 は、結構ブレて、ガッカリすることもあるので……。
CMGさん、どうもです。
以前、Tri-X を増感現像したときは、コントラストが高すぎたので(時間や温度管理、もしくはそもそも撮影時の露出に問題があったのかもしれませんが)、超微粒子のT-MAX400 ならば、バランスよく仕上がるかも、とやってみました。
結果、ほどよい粒状感とコントラスト、シャドーの感じは予想以上の仕上がりでした。
スキャンしたそのままで、全体的に濃度もきれいに揃っていたので驚きました。ストレートで焼けそうな感じといいますか。
現像は、本当に特別なことは何もなく、指示通りにやっています。T-max developer を使ってからは安定している気はしますが。嬉しいコメントありがとうございます。
私はネガのゴミ処理に苦労したので、プロラボへ現のみで出すのですが、だいきちボンバーさんの上がりは、今まで出したどのプロラボより良いですよ。TMYがこれだけ柔らかくならないです、プロラボでは。それでTMXばかりです。凄いなぁといつも感心しています。TMZはそれほど良いフィルムではなかったので、復活するなら新しい乳剤にして欲しいです。
今回は20℃で時間をかけたのがよかったのかな、と漠然と思っています。以前、Tri-Xの増感現像を24℃でやったらかなり粗くなった記憶があるので。
普通に昼間撮るときは、Retro80かT-MAX100 で、これはいいフィルムだなぁ、と思っているのですが、T-MAX400 は100に比べるとちょっと粗い。とはいえ、感度400の中では一番使いやすいので使っているという感じです。ただ今回、増感現像がかなりいけるとわかったので、400の出番も増えそうです。