先日、いつものように図書館で写真集を物色していると、おもしろそうな本を見つけた。
日本を代表する昆虫写真家の海野和男さんによる 『海野和男とクラシックカメラ』(人類文化社)という本だ。
海野さんがクラシックカメラ好き、ということは聞いていたが、実際に作例を見るのははじめてだった。
この本のすごいところは、バルナックライカ、M型ライカ、アルパ、レチナ、フェド、ゾルキー、ゼニット など、いかにも昆虫は撮らないだろ、といったクラシックカメラを使って自身の領域である昆虫や風景写真を真剣に撮っているところだ。
そこには、古いカメラ、レンズだからちゃんと写らなくてもいいでしょ、的な甘えは一切なく、ベローズや接写リング、ストロボなどを駆使し、またオールドレンズの特徴を生かしながら作品に仕上げている。
で、その中で、この写りはいいな、というレンズがあったのでピックアップしてみると、偶然にも2本とも同じメーカーだった。
それが、M42マウントの PENTACON auto 50mm f1.8 と PENTACON auto 29mm f2.8 。
海野さんも、シャープさとボケ味を高く評価していた。
これは欲しいなぁ、と調べてみると、東欧系の品ぞろえで有名な森山農園&カメラに両方ともあるではないか!
というわけで、2本ともゲット。
相場としては、50mm が8000円~10000円くらい、29mmが15000円くらいだろうか。
しかもこのレンズ、50mmが最短33cm、29mmが最短25cm と超寄れるのだ。
M42マウントなので、フィルムはFUJICA ST801 で撮ろう。
また、PENTACON について調べてみると、どうやらこのレンズはバルブボケも出るらしい(バブル・ボケの輝き Vol.3)。
というわけで、まずはマウントアダプターを介して X-Pro2 で試し撮りをすることにした。
FUJIFILM X-Pro2 PENTACON auto 29mm f2.8
なかなかピントはシャープ、そして周辺は流れるようだ。
ボケは確かにすごい。
FUJIFILM X-Pro2 PENTACON auto 29mm f2.8 acrosモード
なかなか不思議な描写だ。
FUJIFILM X-Pro2 PENTACON auto 29mm f2.8
花びらの陰影はしっかりと描写しつつ、ボケは個性的だ。
FUJIFILM X-Pro2 PENTACON auto 29mm f2.8
夕方から夜、普通に撮るとどうだろうと試してみた。
FUJIFILM X-Pro2 PENTACON auto 29mm f2.8
フレクサレット(チェコスロバキア)のベラーもそうだけど、東欧のレンズは、こういった陰翳とか陰鬱な感じの描写が優れていると勝手に思っている。
FUJIFILM X-Pro2 PENTACON auto 29mm f2.8
寄れるし、引けるし、と非常に使い勝手のいいレンズだ。
FUJIFILM X-Pro2 PENTACON auto 50mm f1.8
50mmでの撮影。確かすべて開放。
玉ボケの感じは29mm とちょっと違うようだ。
FUJIFILM X-Pro2 PENTACON auto 50mm f1.8
確かこれが最短距離33cm での撮影。ハーフマクロとまではいかないけど、大きく撮れる。
FUJIFILM X-Pro2 PENTACON auto 50mm f1.8
29mm より色乗りがよさそうだ。
FUJIFILM X-Pro2 PENTACON auto 50mm f1.8
まずまずシャープだけど、それほどコントラストも高すぎず、ほどよい感じ。
FUJIFILM X-Pro2 PENTACON auto 50mm f1.8
控えめで淡い玉ボケとほろ苦い色味、そしてピント面のシャープさととろけるボケ、さすが海野さんも高く評価していたレンズだ。
並品であれば8000円くらいなので、かなりコストパフォーマンスの高いレンズと言えるのではないだろうか。
どもども、だいきちボンバー殿。
ペンタコン50mmF1.8は持っている気がしていたのですが、外観画像が見つからないので、持っていないのかもしれません。
開放でお撮りになったのがか分かりませんが、比較的エッジも諧調も柔らかですね。
どちらかというとカラー映えするレンズのなのかもしれません。
29mmF2.8を絞ったスナップ写真なんて興味がありますね。
拙僧はBマウントのプラクチカールは何本か持っています。
拙僧は基本的にF5.6~F11に絞るので、そうなるのかもしれませんがエッジもシャープで硬質なディテールを再現します。
プラクチカマウントのペンタコンと比べてみたいですね。
旧東ドイツのテッサーは持っているのですが、これも緻密なディテールを再現します。
50mm F1.8の方は、載せた写真はほとんど開放でしたが、絞ってもカリカリにはならずやわらかい感じでした。プラナーより好みかもしれません。
両方ともマルチコーティングなので、カラーがいい感じですが、色の出方が違うのは興味深かったです。
29mm の方は、絞るとシャープですね。建物の描写もシャープで、夕方あたりにいい雰囲気で撮れそうです。
プラクチカールもシャープかつ個性的なボケで面白そうですね。バヨネットのボディも興味あります。東ドイツ、東欧系もいろいろあって深い沼ですね。
こんばんは。
マイヤーのオレストンの描写が気に入って、
同じなのにオレストンよりも安く買えるということで僕も所持しています。
花や女性を撮るときに使うと、たまに会心の一枚を吐き出してくれます。
マイヤーのレンズはなぜか高騰していてなかなか手が出せませんね。
トリオプランがなぜ数万もするのか…
ギさん、どうもです。
オレストンですか。ペンタコンオートとはコーティングの違いがあるくらいかと思いますが、鏡胴のデザインはオレストンの方がかっこいいですよね。ペンタコンオートは現代的なデザインであまり味気がありません。まぁ、写りには関係のない話ですが……。
ピント面はシャープだけど、やわらかいボケ足なので、ポートレートに向いてそうですね。今度、こどもを撮ってみます。
トリオプランは数年前まで2、3万というイメージでしたが、一時は10万超えも見ました。ただ最近は少し下落して6~8万くらい、それでも高いですねぇ。マイヤーは全体的に高くなってますね。
げげっ。オレストンやメイヤーが高騰しているんですか。処分しようかなあ。
あっしがオレストンの135mmF2.8を拾ったときはゴミみたいな値段でしたよ。
エキザクタマウントのブツでも売れるかなあ。
どうもバブルボケが出るトリプレット系のレンズの人気が高いようなのです。
トリオプランの100mm、50mmだけでなく、Domiplan も人気のようです。値段はそれほど高くなっていませんが。あとプロジェクター用のDiaplan をM42に改造しているレンズなど。
そのメイヤーを吸収した流れでペンタコンのレンズで光学系が似ていてバブルボケがでるレンズも人気のようです。
とはいっても、元の値段が安いので、トリオプラン以外は高騰というほどでもないかもしれません。
オレストンはここ1年ちょっとで1.5倍から2倍になった感じですね。
ペンタコンの方の価格は安定してると思います。
先日イギリスへ行ったとき骨董市でPentacolor 50/2.8を見つけましたが、
見た所Domiplanぽかったです。
カビカビで5ポンド…ですが買いませんでした。
今思えばかっとけばよかったと思っています。
なんせ国内ではオークションにも流れていないようですし…
オレストンの方が上がっているんですか。オールドレンズの雑誌も増えて、色々な方面に好事家の触手が伸びているんですねぇ。
手に入れやすい価格もあいまって、M42やEXAKTAがまた注目されはじめているように感じます。
Domiplan はマクロ域でかなり盛大なバブルボケが出るとM42 MOUNT SPIRALさんのページで紹介されていましたね(https://spiral-m42.blogspot.jp/2016/02/veb-pentacon-pentaflex-colordomiplan.html)。
業者やマニアの間で注目度の高いページなので、ここで取り上げられると、値段が上がるかもしれませんね。
ヨーロッパの骨董市とか憧れるなぁ。5ポンドはお安い。清掃でとれるカビならお買い得ですね。情報ありがとうございます。