ニコンメーターは、NIKON F 用に発売されたセレン光電池で動く露出計で、1型~3型がある。
露出計なんていらない、と言ってNIKON F のアイレベルファインダーを買ったわけだが、ニコンメーターは、その意匠が渋いな、と思っていたので、中古カメラ店巡りをする際には、ほどほどの価格で完動品があれば買ってもいいかな、と考えていた。
しかし、セレン光の寿命等により動かないものも多いし、完動品は1万円前後の値段が付いていることもある。
すると、新宿の中古カメラBOXで完動品を発見、値段も5000円とまぁこんなもんかな。
そこで店員さんに 「これ、どうですか?」 と聞くと、
「これ? これはビンビンだよ」 と教えてくれた。
ふむ、ビンビンなら大丈夫だな、と購入した。だいきちが入手したニコンメーターは2型だ。
「F」 が隠れてしまうが、かっこいい……。
しかーし、飾っていてもしょうがない。「ビンビン」 が正確なのか、実戦で使えるのか試してみたい。
(買ったのは1年以上前だが、なかなか使う機会がなく、放置してしまったが……。)
青矢印がISO感度、赤矢印が露出の指針、黒矢印が本体のシャッターダイヤルの軸受けにはまって、シャッタースピードと連動する。
レンズの絞り環に付いている爪をニコンメーターのピンにはめながら装着することで、絞りをニコンメーターに伝える。
つまり(精度は不明ながらも)、シャッタースピード、絞り、ISO 感度が連動しているのだ。
これで、ニコンメーターの数値が正しいのかどうか、試し撮りを行うことにした。
とはいえ、そもそも、だいきちが使用しているNIKON Fボディ のシャッタースピードが正確に出ているかは不明なので、あくまでも実践的に使えるのかどうかの確認である。なのでエビデンスとしては非常に弱い点をご了承いただきたい。
使用したレンズは、「NIKON NIKKOR-Q Auto 135mm f3.5」「NIKON NIKKOR-S.C Auto 50mm f/1.4」、あと室内で「NIKON Ai Micro-Nikkor 55mm f/2.8S 」。
フィルムは、Rollei RETRO80S 、ADOX FX-39で自家現像して、GT-F740でスキャン(2,400dpi) している。
また、単体露出計 「セコニック TWINMATE L-208」 でも確認して比較することにした。
【シーン1】
ニコンメーターの指示は「 F5.6 1/1000 」 、セコニックの露出計では「 F5.6 1/500 」。
「 F5.6 1/1000 」
NIKON F NIKKOR-Q Auto 135mm f3.5 Rollei RETRO80S
「 F5.6 1/500 」
NIKON F NIKKOR-Q Auto 135mm f3.5 Rollei RETRO80S
ニコンメーターとセコニック露出計では、1段分の違いが出た。
どちらが適正かは評価のわかれるところだが、ニコンメーターの指示(上段)の方がシャドウが引き締まって好みだ。
【シーン2】
ニコンメーターの指示は「 F5.6 1/500 」 、セコニックの露出計も「 F5.6 1/500 」。
「 F5.6 1/500 」
NIKON F NIKKOR-Q Auto 135mm f3.5 Rollei RETRO80S
なんと、ニコンメーターとセコニック露出計は同じ値を指示した。
仕上がりの露出も、いい塩梅ではないだろうか。
【シーン3】
露出の難しい空。
まともに空に向けると、どちらの露出計も針は振り切れてしまうので、木の方に向けて測る。
ニコンメーターの指示は「 F8 1/500 」 、セコニックの露出計では「 F5.6半 1/500 」。
まぁ、そんなに変わらんやろ、とニコンメーターの値のみで撮影。
「 F8 1/500 」
NIKON F NIKKOR-Q Auto 135mm f3.5 Rollei RETRO80S
日向では、ニコンメーター大健闘といったところだ。
【シーン4】
では日陰ではどうだろうか。
ニコンメーターの指示は「 F4 1/250 」 、セコニックの露出計では「 F4 1/125 」。
「 F4 1/250 」
NIKON F NIKKOR-S.C Auto 50mm f/1.4 Rollei RETRO80S
「 F4 1/125 」
NIKON F NIKKOR-S.C Auto 50mm f/1.4 Rollei RETRO80S
ニコンメーターの値だと、ちょっとギリギリだ。
これはセコニックの値が無難だろう。
【シーン5】
同じく日陰の植物。
ニコンメーターの指示は「 F5.6 1/250 」 、セコニックの露出計では「 F5.6 1/125 」。
シーン4より暗かったが、もう少し絞りたかったのでF5.6に設定。
どっちの値もちょっと暗いな、と思いながらも撮影した。
「 F5.6 1/250 」
NIKON F NIKKOR-S.C Auto 50mm f/1.4 Rollei RETRO80S
さすがにアンダーだろう。
「 F5.6 1/125 」
NIKON F NIKKOR-S.C Auto 50mm f/1.4 Rollei RETRO80S
セコニックもちょっと暗いが、まぁギリギリか。
ニコンメーターは、日陰だと、ちょっと自分で補正する必要がありそうだ。
【シーン6】
では室内だとどうだろう。ここはニコンメーターの値のみ撮影。
ニコンメーターの指示は「 F2.8 1/125 」
「 F2.8 1/125 」
NIKON F Ai Micro-Nikkor 55mm f/2.8S Rollei RETRO80S
窓の光に引きずられないように測光したつもりだが、机の上の物体はドアンダーになってしまった。
室内は難しいので、もし室内でニコンメーターを使うのならば慣れが必要だろう。
【総括】
全体的には、セコニックに比べて少しアンダーに出る傾向が見られたものの、大健闘ではないだろうか。
シーンによりクセがあるので、経験による補正を加えれば、露出決定の補助として使えるだろう。
ニコンメーターは実践では使い物にならないと思っていたので、正直、すまんかった、という心境だ。